最近、デザインの仕事はポスターや雑誌のレイアウトといったグラフィックだけにとどまらず、Webサイトやゲーム、映像など幅広い業界に広がっています。デザイナーには、一つの専門スキルだけでなく複数のスキルや知識を組み合わせて活躍できる力が求められるようになってきました。例えば、グラフィックデザインに加えてWebデザインや簡単なコーディング、さらにUX(ユーザー体験)やマーケティングまで理解していると、活躍の場がぐっと広がります。新卒でデザイナーを志す皆さんの中には、「業界や職種の違いがわからない…」と不安に感じる方もいるかもしれませんが、大丈夫。このガイドでは、デザイン分野で活躍できるさまざまな業界と職種について、初心者にもわかりやすく具体例を交えて紹介します。一緒にデザインの世界の全体像をつかんで、自分にピッタリの進路を見つけましょう!
- 広告・印刷業界で活躍できる職種
- Web・デジタル業界で活躍できる職種
- ゲーム業界で活躍できる職種
- 映像・アニメーション業界で活躍できる職種
- おわりに:デザインの世界はボーダレスに広がる
広告・印刷業界で活躍できる職種
まずは広告・印刷業界です。ポスターやチラシ、雑誌広告、商品パッケージなど、私たちが日常で目にする印刷物や広告物を手がける業界です。この業界では、企画からデザイン制作、そして分析まで、それぞれ専門の職種があります。

企画・指揮・管理系の職種(広告・印刷)
クリエイティブディレクター(Creative Director|CD)
プロジェクト全体のクリエイティブ(創造面)の責任者です。アイデアのコンセプト作りから最終的な仕上がりまで広い視点で監督し、ときには複数のプロジェクトやブランド全体のクリエイティブ戦略を統括します。例えば、大型キャンペーンの広告では、テレビCMからWeb広告、ポスターまで一貫したコンセプトになるよう企画をリードします。クリエイティブディレクターはアートディレクターやコピーライターなど各分野のディレクターをまとめ、プロジェクトの方向性を決定づけます。
アートディレクター(Art Director|AD)
広告や印刷物のビジュアル面の責任者です。デザインの方向性を決め、チームのデザイナーやイラストレーターに指示を出して作品をまとめます。例えば、新商品のポスターを制作するとき、全体の色使いやレイアウトのコンセプトを考え、必要に応じて写真撮影やイラスト制作を手配します。完成までデザインクオリティを管理する、いわば現場の指揮官です。
プロデューサー(Producer|P・PD)
広告制作における進行管理や調整役です。クライアント(広告主)との打ち合わせ、予算やスケジュール管理、そしてデザインチームやコピーライターなどスタッフの取りまとめを行い、プロジェクトがスムーズに進むようにします。例えば、新商品の広告キャンペーンでは、クライアントの要望を整理し、締め切りに間に合うよう各担当者に仕事を割り振り、全体の進捗をチェックします。陰ながらプロジェクト全体を支える縁の下の力持ちです。
デザイン・制作系の職種(広告・印刷)
グラフィックデザイナー(Graphic Designer)
ポスター、チラシ、雑誌の表紙、広告バナーなど平面上のビジュアルをデザインするお仕事です。写真やイラスト、文字のレイアウトを組み合わせて、伝えたいメッセージを視覚的に表現します。例えば、イベント告知のポスターを任されたら、明るい色と大きな文字で遠くからでも目立つようにしたり、テーマに合った写真を配置して雰囲気を伝えたりします。印刷物やWeb上の画像など、視覚で「伝える」プロで、広告・印刷業界の花形と言えるでしょう。
エディトリアルデザイナー(Editorial Designer)
雑誌や書籍、パンフレットなど紙面のレイアウトを専門にデザインする人です。「エディトリアル」とは編集のことで、文章と写真・イラストを読みやすく美しく配置し、読者が内容を理解しやすいページデザインを作ります。例えば、大学案内のパンフレットでは、学生生活を紹介する文章と写真をバランスよく配置し、見開きページ全体で一つのストーリーが伝わるように工夫します。文章を魅力的に見せるデザインの専門家です。
パッケージデザイナー(Package Designer)
お菓子や飲み物、化粧品など、商品のパッケージ(箱や容器)をデザインする仕事です。商品のコンセプトや魅力を形や色、ロゴやイラストで表現し、お店で手に取ってもらえるよう工夫します。例えば、新発売のチョコレート菓子のパッケージをデザインする場合、可愛らしく甘いイメージを伝えるためにピンク色の箱に手描き風のロゴを配置し、開けたときに驚きがあるよう内側にも模様を入れる、といった演出をします。商品そのものの「顔」を作る、大切な役割です。
DTPデザイナー(DTPオペレーター)
DTPとはDeskTop Publishing(デスクトップパブリッシング)の略で、パソコン上で印刷物の版下データを作ることを指します。DTPデザイナー(オペレーター)は、デザイナーの作ったレイアウトをもとに、印刷に適したデータを組み上げる専門家です。例えば、ポスターのデザインデータを作る際に、文字が印刷でつぶれないようフォントサイズや間隔を微調整したり、色が印刷機で正確に再現されるようCMYK値を設定したりします。目立たないですが、印刷の最終工程で品質を支える重要な仕事です。
BXデザイナー(ブランドエクスペリエンスデザイナー)
BXはBrand Experience(ブランド体験)の略です。ブランドエクスペリエンスデザイナーは、ユーザーがお店や商品に触れるときに得られるブランド体験全体をデザインします。商品のロゴ、パッケージ、広告ビジュアル、店舗の内装に至るまで、ブランドの世界観を一貫させる役割です。例えば、あるカフェチェーンのBXデザイナーなら、ロゴやメニュー表、店舗内装のデザインを統一し、そのカフェ独特の居心地やイメージをお客さんに感じてもらえるよう工夫します。ブランドの“らしさ”をあらゆる接点で表現するデザイナーです。
CXデザイナー(カスタマーエクスペリエンスデザイナー)
CXはCustomer Experience(顧客体験)の略で、CXデザイナーは顧客が商品やサービスを利用する一連の流れ全体を設計する仕事です。購入前から購入後まで、顧客が感じる体験をより良いものにする仕組みを作ります。例えば、ネット通販のCXデザイナーなら、サイトで商品を探すところから決済、商品が届いて使うところ、さらにその後のサポートまで、一連の体験がスムーズで快適になるようデザインを考えます。Webサイトのデザイン改善はもちろん、梱包デザインや説明書のわかりやすさ、カスタマーサポートのフローなども含め、顧客満足度を高めるよう工夫します。
イラストレーター(Illustrator)
雑誌の挿絵、本の表紙、広告のイラストなど絵を描く専門職です。自分の画風やタッチで、依頼内容に合ったイラストを制作し、デザインや文章の魅力を引き立てます。例えば、子ども向け絵本の制作では、物語に登場するキャラクターや背景の絵を描いて、読者である子ども達がワクワクする世界観を作り上げます。広告では商品の特徴をわかりやすく伝えるイラスト、雑誌では記事の内容に沿った可愛いカットイラストなどを提供します。絵が得意な人が活躍できる職種です。
分析・戦略系の職種(広告・印刷)
広告プランナー(Advertising Planner)
どんな宣伝戦略を立てれば商品やサービスが効果的にアピールできるかを企画する仕事です。市場調査の結果や流行の分析を元に、ターゲットとなるお客さんが興味を持つ広告の内容や媒体(テレビCM、SNS、看板など)を計画します。例えば、新発売の飲料を若者に売り出すなら、SNSでバズる動画広告を作るアイデアを出したり、キャッチコピー(宣伝の短いフレーズ)を考案したりします。クリエイティブな発想だけでなく、マーケティング的な視点で戦略を立てる仕事です。
マーケティングリサーチャー(Marketing Researcher)
商品やサービスについて、市場や消費者のデータ調査・分析を行う専門家です。アンケートやインタビュー、売上データなどを通じて「どんな人が何を求めているか」「競合他社は何をしているか」を調べます。その結果をもとに、効果的な宣伝方法や商品開発のヒントを提供します。例えば、新しく発売する化粧品のマーケティングリサーチでは、ターゲット層の女性に好みのパッケージデザインをアンケートし、その傾向から広告で強調すべきポイントを探ったりします。データに基づいて裏付ける、戦略の参謀役です。
コピーライター(Copywriter)
広告のキャッチコピーやボディコピー(本文)といった言葉を作るプロフェッショナルです。商品の魅力を端的に伝える一言や、人の心に残るフレーズを生み出します。例えば、新しい化粧品の広告で「〇〇な肌へ、ひと塗りで。」といった興味を引くキャッチコピーを考えるのがコピーライターの仕事です。またWebサイトやパンフレットの文章を書く場合もあります。言葉の力でブランドのメッセージを届ける、クリエイティブ且つ戦略的な役割です。
Web・デジタル業界で活躍できる職種
次に、Web・デジタル業界です。企業のWebサイトやスマホアプリ、オンラインサービスなど、デジタルな媒体のデザインを扱う業界になります。インターネット上のサービスは今や欠かせないものですから、この分野のデザイナーは特に需要が高いです。Web業界でも企画・管理、デザイン制作、分析の各分野で専門職があります。

企画・指揮・管理系の職種(Web・デジタル)
Webディレクター(Web Director)
Webサイトやアプリの制作プロジェクトを統括・進行管理する人です。クライアントや自社の要望を踏まえてサイトやアプリの構成を考え、デザイナーやエンジニアに何を作るべきか指示を出します。例えば、企業ホームページのリニューアルでは、「トップページに動画を入れてインパクトを出そう」「お問い合わせフォームは簡潔にしよう」といった方針を決め、ページごとのレイアウト案を作成。各担当者(デザイナーやプログラマー)の進捗を管理し、期限までに期待通りのサイトが完成するよう導きます。
UXストラテジスト(UX Strategist)
UXはUser Experience(ユーザー体験)の略称で、UXストラテジストはユーザー体験を向上させるための戦略立案を行う専門家です。ユーザー調査のデータやアクセス解析をもとに、「どうすればユーザーがもっと快適に使えるか」「どんな機能が求められているか」を考え、製品やサービスの方向性に反映させます。例えば、スマホアプリの利用データを分析して、多くのユーザーが途中で離脱している操作箇所を見つけたら、そこを改善するための戦略(画面の流れを変える、新しいチュートリアルを入れるなど)を提案します。UXストラテジストはビジネス目線とユーザー目線をつなぐ役割とも言えます。
サービスデザイナー(Service Designer)
形の無いサービス全体をデザインする仕事です。Webサイトやアプリだけでなく、場合によっては実店舗での体験やスタッフの対応も含め、ユーザーがサービスを利用する一連の仕組みを設計します。例えば、シェア自転車サービスのサービスデザイナーなら、スマホアプリの画面設計から自転車の貸出拠点の配置、料金プランやカスタマーサポートの流れまで、利用者がストレスなくサービスを受けられるよう総合的に体験を設計します。サービス全体を俯瞰し、様々な専門家(UIデザイナーやエンジニア、オペレーション担当など)と協力して理想の利用体験を形にする役目です。
デザイン・制作系の職種(Web・デジタル)
Webデザイナー(Web Designer)
Webサイトの見た目をデザインする人です。レイアウト、色使い、写真やイラストの配置、フォント選びなどを行い、使いやすく魅力的なWebページを作ります。例えば、レストランのホームページをデザインするなら、おいしそうな料理の写真を大きく見せ、予約ボタンは目立つ色で配置する、といった工夫をします。Webデザイナーはコーディング(プログラミング)の知識を持っていることも多く、デザインだけでなく実装まで行うこともありますが、ここではビジュアルデザインに焦点を当てる役割とします。
UI/UXデザイナー
UIはUser Interface(ユーザーインターフェース)、UXはUser Experience(ユーザー体験)の略です。UI/UXデザイナーは、アプリやWebサイトでユーザーが触れる画面の見た目(UI)だけでなく、その操作体験(UX)全体を考慮してデザインします。例えば、ショッピングアプリでUI/UXデザイナーが活躍する場合、ボタンの色や大きさを決める(UI設計)だけでなく、購入ボタンを押した後に確認メッセージを表示して誤操作を防ぐ仕組みにするといった体験の設計(UX設計)も行います。一人でUIもUXも兼任する形で、小規模なプロジェクトで特に求められる職種です。
UIデザイナー(UI Designer)
アプリやWebサイトの画面デザインに特化したデザイナーです。ボタンやメニュー、アイコンなど一つ一つの要素のデザインや配置を考え、見た目に一貫性があり操作しやすい画面を作ります。例えば、音楽再生アプリのUIデザイナーなら、再生・停止ボタンやプレイリスト画面のレイアウトをデザインし、ユーザーが迷わず使えるよう配色やアイコンの形を工夫します。UIデザイナーはビジュアルのセンスと使いやすさのバランスを追求する役割です。
UXデザイナー(UX Designer)
ユーザーがサービスを通じて得る体験全体を設計・改善する専門家です。画面そのもののデザインというより、ユーザーが目的を達成するまでの流れや感じ方に注目します。例えば、オンラインショッピングサイトのUXデザイナーなら、トップページから商品検索、カートに入れて購入完了するまでの一連の流れがスムーズか、どこでユーザーが迷いやすいかを調査し、必要に応じて「関連商品を表示して探しやすくする」「購入確認ページに安心感のあるメッセージを載せる」など体験面の改善を行います。心理学や人間工学の知識が活きる仕事です。
フロントエンドエンジニア(Front-end Engineer)
Webサイトやアプリの画面部分の実装を担当するエンジニア(プログラマ)です。デザイナーの作ったデザインをもとに、HTML/CSSやJavaScriptを使って実際にブラウザ上で動くようコードを書きます。例えば、メニューがスライドして表示される動きや、フォーム入力時のリアルタイムチェックなど、見た目と連動した機能をプログラミングします。フロントエンドエンジニアはデザインの知識も求められるため、デザイナーと密に連携してユーザーにとって快適なWeb体験を形にします。
Webライター(Web Writer)
Webサイトやブログの文章を書く職種です。一見デザインと離れているようですが、コンテンツの文章はWebサイトのユーザー体験を左右する大切な要素です。デザイン分野におけるWebライターは、例えばデザイン系メディアの解説記事を書いたり、企業サイトのサービス紹介文を書くなど、文章を通じて情報を伝える役割を担います。読者にとって分かりやすく魅力的な文章を書くことで、デザインの意図や商品の魅力をしっかり届けることに貢献します。
分析・戦略系の職種(Web・デジタル)
UXリサーチャー(UX Researcher)
ユーザー体験(UX)の調査・分析を専門とする職種です。ユーザーがWebサイトやアプリを使っている様子を観察したり、インタビューやアンケートで意見を集めたりして、デザイン改善のヒントを探ります。例えば、新しくリリースしたアプリについてユーザーテストを行い、「どの画面で操作に戸惑っている人が多いか」「期待した機能が見つけられているか」などを調べます。その結果をデザイナーや開発チームにフィードバックし、製品の改良に活かします。UXリサーチャーはユーザーの声を代弁し、プロダクトをより良くするための科学的アプローチを提供します。
データアナリスト(Data Analyst)
Webサイトやアプリの利用データを解析する専門家です。アクセス数、クリック率、滞在時間、離脱率など様々な数値を分析し、ユーザーの行動パターンやコンテンツの効果を読み解きます。例えば、オンラインショップのデータアナリストなら、「商品ページからカートに進む人の割合」「平日と週末でのアクセス傾向の違い」などを分析し、サイト構成やプロモーション施策の改善提案を行います。数字に強く、データから戦略を導くのが得意な人に向いている職種です。
SEOプランナー(SEO Strategist/Planner)
SEOはSearch Engine Optimization(検索エンジン最適化)の略で、WebサイトがGoogleなどの検索結果で上位に表示されるように工夫する専門家です。SEOプランナーは、サイトの構成やコンテンツを分析し、必要な改善策を計画します。例えば、デザイン会社のホームページをより多くの人に見つけてもらうために、「デザイン 就職」など学生が検索しそうなキーワードをページに盛り込み、定期的にブログ記事を更新するといった施策を立てます。技術面(サイト表示速度の改善など)とコンテンツ面(有益な記事を書くなど)の両方から、検索で見つけてもらう戦略を担う仕事です。
ゲーム業界で活躍できる職種
続いてゲーム業界です。ゲームソフトやスマホゲームの企画・開発に関わる仕事で、エンターテインメントが好きな人には魅力的な分野です。ゲーム制作は映画制作にも似ており、企画・ディレクション系、デザイン制作系、そして分析・戦略系の役割があります。ここでは主にゲーム開発会社での職種をイメージして紹介します。

企画・指揮・管理系の職種(ゲーム)
ゲームディレクター(Game Director)
ゲーム開発プロジェクトの総指揮者です。ゲームのコンセプトやルール、世界観を把握し、開発の進行を管理します。ゲームディレクターは各分野(シナリオ、デザイン、プログラムなど)のリーダーと協力しながら、最終的に面白いゲームになるよう全体を導きます。例えば、新作RPGの制作では、物語の大筋やゲームシステムの骨組みを決め、定期的にチーム会議を開いてグラフィックやサウンドの進捗を確認し、必要なら調整を指示します。ゲームの完成度を左右する、司令塔的存在です。
ゲームプランナー(Game Planner)
ゲームの企画立案者です。ゲームのアイデアを考え、ルールやステージ構成、キャラクター設定など詳細を企画書にまとめます。ゲームプランナーは「こんなゲームを作りたい!」という発想を具体化し、開発チームに提案します。例えば、パズルゲームのプランナーなら、新しいパズルのルールやステージ難易度の調整案を考え、レベルごとに出現するアイテムやギミック(仕掛け)を企画します。ゲームデザイナーと呼ばれることもありますが(会社によって用語が異なります)、要はゲーム内容を考える人です。
コンセプトデザイナー(Concept Designer)
ゲームの世界観やビジュアルの初期コンセプトを作る役割です。コンセプトアーティストとも呼ばれ、企画段階でキャラクターや背景、美術設定のイラストを描いて、制作チーム全員が共有する“イメージの叩き台”を作ります。例えば、ファンタジーゲームを始める際、主人公の村や魔王の城のコンセプトアート(雰囲気画)を描いて、物語のトーンや色彩感を示します。この絵をもとにデザイナーやモデラーたちが詳細を詰めていくため、コンセプトデザイナーは作品の方向性を視覚化する重要なポジションです。
デザイン・制作系の職種(ゲーム)
ゲームデザイナー(Game Designer)
少し紛らわしいのですが、ゲーム業界で「ゲームデザイナー」という場合、ゲーム内容そのものを設計する人を指すことがあります。ゲームプランナーとほぼ同義に使われることもありますが、ここではゲームの細部のデザイン(数値設定やレベルバランスなど)を担当する役割として説明します。例えば、RPGで各キャラクターの攻撃力や魔法効果を設定したり、敵をどの場所に何体配置するか決めたり、ゲーム全体の難易度曲線を調整するといったことです。ユーザーが感じる遊び心地をデザインする、ゲーム内容の設計者と言えます。
2Dデザイナー(2D Artist/Designer)
ゲーム内で使われる2Dグラフィックを制作する人です。ドット絵、UIパーツ、背景イラスト、キャラクターの立ち絵など、平面的なビジュアル素材を担当します。例えば、スマホゲームの2Dデザイナーは、キャラクターの表情差分イラストを描いたり、ゲーム内ボタンやアイコンのデザインをします。手描きイラストからドット絵アニメーションまで、平面表現のスペシャリストです。
3Dデザイナー(3D Artist/Designer)
ゲーム内で使われる3Dモデルを制作する人です。キャラクターやモンスター、乗り物、建物、自然物など、3DCGソフトを使って立体モデルを作ります。例えば、アクションゲームの3Dデザイナーなら、主人公キャラクターのモデルを作り、歩く・走る・攻撃するといったモーション(動き)を設定することもあります(※動き専門は後述のモーションデザイナーが担当する場合も)。リアルな質感の追求からデフォルメキャラの造形まで、ゲームの見た目を形作る仕事です。
キャラクターデザイナー(Character Designer)
ゲームやアニメのキャラクター造形を考えるデザイナーです。ゲーム開発では、キャラクターデザイナーがキャラの設定画やデザイン画を描き、それを元に3Dモデルやドット絵が作られます。例えば、対戦ゲームのキャラクターデザイナーは、新キャラクターの性格に合わせて見た目(服装や髪型、武器など)をデザインし、設定資料を作成します。プレイヤーの印象に直結するキャラクターの「顔」を作る、大事なクリエイティブ職種です。
UIデザイナー(ゲームUIデザイナー)
ゲーム画面のユーザーインターフェースをデザインする人です。体力ゲージやスコア表示、メニュー画面など、ゲーム独自の要素を含むUIを設計します。例えば、RPGゲームのUIデザイナーなら、アイテム選択画面や地図表示のレイアウトをデザインし、ファンタジーの世界観に合った枠飾りやフォントを選ぶなど、世界観と使いやすさ双方を考慮します。ゲームプレイを支える縁の下の力持ちでありつつ、デザインでゲームの雰囲気を高める役割です。
CGアーティスト(CG Artist)
ゲーム内の映像クオリティを高めるCGの専門家です。3Dデザイナーがモデルを作った後、CGアーティストがテクスチャ(質感となる画像)を描き込んだり、ライティング(光の当て方)やエフェクトを調整して、画面を美しく仕上げます。例えば、ファンタジーゲームでドラゴンが炎を吐くシーンを作る際、炎のエフェクトを作成し、ドラゴンのウロコのテカリ具合や周囲の照り返しを調整して、迫力ある映像にします。CGに関する幅広い知識で、ゲームのビジュアル面を底上げするポジションです。
モーションデザイナー/アニメーター(Motion Designer / Animator)
ゲーム内キャラクターやオブジェクトの動きを作る担当です。3Dの場合はボーン(骨格)を入れて動かす3Dアニメーター、2Dの場合は絵を何枚も描くアニメーターが該当します。例えば、格闘ゲームのモーションデザイナーは、パンチやキックの連続技の動きを作成し、攻撃が当たったときキャラがのけぞるリアクションまでデザインします。滑らかで気持ち良い動きをつけることで、ゲームに命を吹き込む大切な役割です。
分析・戦略系の職種(ゲーム)
ユーザーデータアナリスト(User Data Analyst)
リリース後のゲームのプレイデータを分析する専門家です。オンラインゲームやソーシャルゲームでは特に、どのステージで離脱するプレイヤーが多いか、どんなキャラがよく使われているか、課金アイテムの売れ行きはどうか、といったデータを収集できます。ユーザーデータアナリストはそれらを分析し、ゲームバランスの調整やイベント企画の改善提案を行います。例えば、「ステージ5で脱落率が高いから難易度を下げよう」「人気のキャラAに関連するイベントを増やそう」といった具合です。数字からゲームをより面白くする戦略を導き出す仕事です。
レベルデザイナー(Level Designer)
ゲームの各ステージ設計を担当するデザイナーです。マップの構造や敵配置、アイテム配置、ギミックの配置などを考え、プレイヤーが適度な緊張感と達成感を得られるようレベル(ステージ)を作り込みます。例えば、横スクロールアクションゲームのレベルデザイナーなら、序盤は簡単なジャンプ台と弱い敵だけにして操作に慣れてもらい、中盤以降に穴や強敵を増やしてチャレンジ性を上げる、といった難易度カーブを描きます。プレイヤーの体験を直接左右する重要な役割で、ゲームデザインの要とも言えるでしょう。
映像・アニメーション業界で活躍できる職種
最後に映像・アニメーション業界です。映画やテレビCM、アニメ、Web動画、MV(ミュージックビデオ)など、動く映像コンテンツを制作する世界です。この分野でも、企画や制作、分析といった役割ごとに様々な職種があります。デザインと言うと静止画を思い浮かべるかもしれませんが、映像の世界でもデザインの力は大活躍です。

企画・指揮・管理系の職種(映像・アニメーション)
映像ディレクター(Video Director)
映像作品(映画、ドラマ、CM、ミュージックビデオ、YouTube動画など)の演出責任者です。企画の意図に沿ってシナリオや絵コンテを作成し、撮影や編集の現場でスタッフや出演者に指示を出して、狙った映像表現を実現します。例えば、企業PR用の映像を制作する映像ディレクターなら、「最初の5秒でインパクトを出そう」「商品の使用シーンは明るい自然光で撮影しよう」など演出プランを練り、当日はカメラマンにカメラアングルを指示し、俳優には表情や動きをリクエストします。映像の出来を左右する、監督的ポジションです。
アニメプロデューサー(Animation Producer)
アニメ制作における制作統括者です。予算管理、スケジュール管理、スタッフや外注先との調整など、作品が最後まで完成するよう裏で采配を振るいます。例えば、新作テレビアニメシリーズのプロデューサーは、各話の進行状況をチェックし、万一遅れが出そうなら他のスタジオに原画作業を依頼したり、追加予算の申請を検討したりします。またスポンサーや放送局とのやり取りも行い、作品を世に送り出すため奔走します。アニメーションプロデューサーは現場と経営をつなぐ調整役であり、優れたマネジメント力が求められる仕事です。
デザイン・制作系の職種(映像・アニメーション)
モーショングラフィックスデザイナー(Motion Graphics Designer)
文字や図形、写真などのグラフィック要素に動きをつけるデザイナーです。テレビ番組のタイトルロゴのアニメーションや、ニュース映像中のテロップ演出、Web動画のオープニングアニメーションなどを手掛けます。例えば、YouTubeの動画広告で製品の特徴をアニメーションで紹介する部分をデザインしたり、企業VP(ビデオパッケージ)のタイトルロゴがカッコよく動いて現れる映像を作ったりします。静止画では伝えきれない情報を動きとタイミングで表現するスペシャリストです。
アニメーター(Animator)
アニメーション作品の原画・動画を描く人です。手描きアニメではキャラクターが動く一コマ一コマの絵を描き、3DCGアニメでは3Dモデルに動きをつけます。例えば、アニメ映画で主人公が走ってジャンプするシーンでは、アニメーターが走り始めからジャンプして着地するまでの姿勢を何枚も描き、それらを連続再生して滑らかな動きを表現します。地道な作業ですが、キャラクターに命を宿すクリエイティブなポジションで、日本の手描きアニメ文化では特に花形とも言えます。
VFXデザイナー(VFX Designer)
VFXはVisual Effects(視覚効果)の略で、映像にCGを使った特殊効果を加える専門家です。爆発・煙・雨・光といった効果や、実写では撮影できない魔法表現、背景の合成などを行います。例えば、ヒーロー映画で街が破壊されるシーンでは、実物は壊せないので、VFXデザイナーがCGでビルが崩れる映像を作り、炎や煙のエフェクトを重ね合わせて迫力あるシーンに仕上げます。観客が「おおっ!」と思う映像の裏には、VFXデザイナーの巧みなデジタルマジックがあります。
コンポジター(Compositor)
複数の映像素材を合成(コンポジット)して一つの映像にまとめる職人です。実写映像とCGを馴染ませたり、別々に撮影した人物と背景を違和感なく重ねたり、色味を調整して統一感を出したりするのが仕事です。例えば、俳優をグリーンスクリーンで撮影した映像と、背景に用意したCGの風景を合成し、境目の色を調整してあたかも俳優がその場にいるように見せます。コンポジターの腕次第で映像のリアリティが決まると言っても過言ではなく、映像の最終仕上げを担う重要な役割です。
CGデザイナー(CG Designer)
映像作品向けの3DCGモデルやCGシーンを作るデザイナーです。ゲームの3Dデザイナーに似ていますが、映像ではリアルタイム処理の制約がない分、より高精細でリアルなCGが求められます。例えば、映画に登場する恐竜をCGで作る場合、肌の質感や表情の細かな動きまで作り込み、実写の風景になじむ照明を当ててレンダリング(画像出力)します。CGデザイナーはモデリングからアニメーション、レンダリングまで幅広く関わり、映像における「CGの登場人物」や「仮想の風景」を作り上げます。
ストーリーボードアーティスト(Storyboard Artist)
映像作品の絵コンテ(ストーリーボード)を描く人です。脚本の内容をもとに、シーンごとのカメラ割りやキャラクターの動きをコマ割りのスケッチで表現し、映像の設計図を作ります。例えば、アニメでアクションシーンを制作する前に、ストーリーボードアーティストが「キャラAが右から左へ駆け抜けるカット→キャラBが上空から攻撃してくるカット」という流れを簡単な絵で描き示します。これにより監督やアニメーター全員が完成イメージを共有できます。映像制作の要所要所で道しるべとなる、大切な工程を担う職種です。
分析・戦略系の職種(映像・アニメーション)
映像データアナリスト(Video Data Analyst)
映像作品の視聴データや反応を分析する専門家です。テレビ番組の視聴率や、配信動画の再生回数・視聴完了率、SNSでの反響(いいね数・コメント内容)などを調べ、傾向を読み取ります。そしてその分析結果をもとに、今後のコンテンツ企画や宣伝方法の戦略立案に貢献します。例えば、配信ドラマの第1話について、視聴者が何分頃で離脱する人が多かったかデータを見て、序盤の展開にもっと引きつける工夫が必要だと示唆したり、SNSでの感想から特に支持されているキャラクターを把握して関連グッズ展開の提案をしたりします。データアナリストは映像業界ではまだ新しめのポジションですが、数字でヒットを支える頼もしい存在です。
おわりに:デザインの世界はボーダレスに広がる
以上、広告・印刷、Web・デジタル、ゲーム、映像・アニメーションの4業界にわたって、企画・管理、デザイン制作、分析・戦略の各カテゴリごとに主要な職種を紹介しました。これだけ多様な職種がありますが、現代のデザイン業界では実は境界がだんだんなくなりつつあるのも特徴です。グラフィックデザイナーがWebデザインの知識を求められたり、ゲーム業界のコンセプトアーティストが映画のコンセプトデザインを手がけたりと、垣根を超えて活躍するケースも増えています。
新卒デザイナーの皆さんには、まず興味のある分野から専門性を磨きつつ、ぜひほかの分野の知識やスキルも柔軟に取り入れてほしいと思います。最初は「覚えることが多くて大変そう」と感じるかもしれませんが、デザインの基礎となる発想力や観察眼はどの分野でも共通して役立ちます。ひとつスキルを身につけたら、それを別の分野に応用してみることで新たな強みが生まれるでしょう。
これからの時代、デザインの仕事はますます複合的になり、新しい職種も出てくるはずです。みなさんが自分だけのキャリアをデザインしていく上で、「グラフィック×Web」「デザイン×データ分析」など、色々な組み合わせにチャレンジできる余地は大いにあります。
最後に、デザインの道を志す皆さんへエールを送ります。好きなことに貪欲に挑戦し、学び続けることで、きっと自分だけの活躍の場が見つかります。 デザインの世界は広く深いですが、その分あなたの情熱を注げるフィールドも無限大です。今回のガイドが少しでも進路選択の参考になり、不安が自信に変わる手助けになれば幸いです。あなたのデザインの力で、未来に素敵なクリエイティブを生み出していってくださいね!
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