細かい枝の部分までしっかり残しながら空を合成する方法をご紹介いたします。以前ご紹介したブレンド条件や空の選択などの手軽な手法では、どうしても細部が失われがちでした。そこで、同じ素材を使いながら、より自然な合成を実現するテクニックを解説します。ぜひ最後までご覧ください。
今回の内容を詳しく知りたい方は、最後に動画を貼っているのでそちらも参考にしてください。
今回実施する内容
以前ご紹介した「ブレンド条件」や「空の選択」、「アルファチャンネル」を用いた手軽な手法では、どうしても細部が失われていました。
今回は木の枝のディティールを活かした合成をおこないます。
使用する素材
今回使用する2つの画像は、Adobe Stockの無料素材を利用します。Adobeユーザーなら誰でもダウンロード可能なので、実際に操作しながら進めていきましょう。
今回は用意した空と木の画像を使いますが、合成にはさまざまな方法があります。空と木のレイヤーを逆にするパターンでも合成が可能なので、そちらも実践していきますね。
空の画像を合成する手順
STEP.1
レイヤーの準備
ダウンロードした2つの画像を開き、木が写っている画像に空の画像をコピーして貼り付けます。レイヤーの名前を「空」に変更してください。
背景レイヤーを複製し、「空」レイヤーの上に配置して、名前を「木」に変更します。
STEP.2
ブレンド条件の設定(ブルー)
「木」レイヤーをダブルクリックし、レイヤースタイルパネルを開きます。
ブレンド条件を[ブルー]に変更し、[現在のレイヤー]のホワイトスライダーを分割しながら左へ移動させると、空部分が透明になります。この段階だと細かい枝の部分が消えてしまうので、後工程で対応します。
分割する場合はOption(Alt)キーを押しながらスライダーをドラッグしてください。
STEP.3
ディティールを戻すレイヤーの作成
背景レイヤーを再度複製し、一番上に移動して名前を「木ディティール」にします。
「木ディティール」レイヤーの描画モードを[オーバーレイ]に変更すると、細い枝が戻ったように見えます。ただし、全体の色味が強く出る場合があります。
STEP.4
色の調整(白黒調整レイヤーとクリッピングマスク)
レイヤーパネル下部の[調整レイヤーを新規作成]ボタンから[白黒]を選択します。
MacならOptionキー(WindowsはAltキー)を押しながら、「木ディティール」レイヤーと白黒調整レイヤーの間をクリックし、クリッピングマスクします。
これにより「木ディティール」レイヤーのみ白黒化し、空の色と自然になじむようになります。
STEP.5
最終的な合体レイヤーを作成し、Camera Rawで仕上げ
白黒調整レイヤーを選択した状態で、Command(Ctrl)+Option(Alt)+Shift+Eを押し、表示されているレイヤーをすべて合体した新規レイヤーを作成します。レイヤー名はわかりやすく「合体」としておきます。
[フィルター]メニューから[スマートフィルター用に変換]を選択し、さらに[Camera Rawフィルター]で空や木の色味を微調整します。
これで空の合成が完了です。
左:Before / 右:After
レイヤーの順番を逆にして合成する手順
今度は空と木のレイヤーを逆にして合成します。
STEP.1
空レイヤーの複製と準備
空のレイヤーを複製し、下の空レイヤーを「空オリジナル」とリネームして非表示にします。元画像を保持しておきたいだけなので、深い意味はありません。
STEP.2
ブレンド条件の調整
複製した空レイヤーをダブルクリックし、レイヤースタイルパネルを開きます。
ブレンド条件の[下になっているレイヤー]のブラックスライダーを分割して右へ移動させます。
[現在のレイヤー]のブラックスライダーも分割して右へ移動することで、木の細かいディティールがしっかり残ります。
STEP.3
雲の濃度調整
雲の部分が少し薄いと感じたら、雲レイヤーを複製して重ねることで、雲を少し濃く見せることができます。
ただし、複製を重ねすぎると木の細部が消えてしまう場合もあるので、加減をみながら調整してください。
STEP.4
最終的な合体レイヤーを作成し、Camera Rawで仕上げ
表示されているレイヤーをまとめた新規レイヤーをCommand(Ctrl)+Option(Alt)+Shift+Eで作成します。レイヤー名は「合体」としておきます。
[フィルター]メニューの[スマートフィルター用に変換]を行い、[Camera Rawフィルター]で雲や木の濃さ、色味などを好みに合わせて調整します。
レイヤー順を逆にしても、しっかりと自然に合成できるのがおわかりいただけると思います。
左:Before / 右:After
まとめ
合成の方法は素材の相性によって最適なアプローチが異なりますので、「これが唯一の正解」というものはありません。複数のテクニックを身につけておくことで、さまざまな状況に応じてベストな合成を選択できます。今回は枝の細部まで自然に残す方法をご紹介しましたが、ぜひいろいろな手法を試してみてください。
YouTube動画のご紹介
今回ご紹介した手順を動画で詳しく解説しています。実際の操作画面を見ながら学べるため、より理解しやすくなっていますので、ぜひご活用ください。動画が参考になりましたら、「いいね」や「チャンネル登録」をしていただけると励みになります。また、ご質問やご感想などがございましたら、コメント欄にお寄せください
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