グラデーションマップを使用した、人物の肌補正テクニックをご紹介します。
グラデーションマップといえば、2色を掛け合わせてビジュアルを作成する機能というイメージが強いかもしれません。しかし、実は肌の色調整にも活用できることをご存じでしょうか。撮影時に気づかなかった肌色のムラや、顔と身体の色差を手軽に補正できる方法を紹介します。
詳しく知りたい方は、最後に動画を貼っているのでそちらも参考にしてください。
今回実施する内容
人物の画像って、肌のコンディションや色んな光の入り方によって色ムラが発生します。今回の画像は、顔と体の色が異なるので、「グラデーションマップ」で補正していきます。
テクニックがわかれば、ちょっと応用するだけで自由自在に肌の色補正をすることが可能になります。
使用する素材
今回使用する人物の画像は、Unsplashの無料素材を利用します。誰でもダウンロード可能なので、実際に操作しながら進めていきましょう。
グラデーションマップの初期設定
STEP.1
画像ファイルを開く
ダウンロードした画像をPhotoshopで開きます。
STEP.2
[グラデーションマップ]を作成
レイヤーパネル下部の[調整レイヤーを新規作成]ボタンから[グラデーションマップ]を選択します。カラーは初期状態のままでも問題ありません。
ラベル
レイヤーマスクを反転する
レイヤーマスクを選択し、Command(Ctrl)+Iで階調を反転します。マスクが黒色になり、いったんグラデーションマップが非表示状態になります。
肌部分の選択と適用
STEP.1
肌の一部を選択する
[なげなわ選択ツール]などを使い、ざっくりと肌の範囲を選択します。明暗がはっきり出ている部分を含むように意識すると後の調整がしやすくなります。
STEP.2
レイヤーマスクを白で塗りつぶす
レイヤーマスクを選択し、選択範囲を白色で塗りつぶします。白色部分だけにグラデーションマップが適用されます。
ショートカット
描画色や背景色で塗りつぶすショートカットは便利なので、ぜひ覚えておきましょう。
- 描画色で塗りつぶし:Option(Alt)+Delete
- 背景色で塗りつぶし:Command(Ctrl)+Delete
STEP.3
選択範囲を解除する
次の操作に入る前に、必ず選択範囲を解除してください。
ショートカット
選択範囲の解除:Command(Ctrl)+Shift+I
カラー分岐点の設定
STEP.1
グラデーションエディターを開く
グラデーションマップのサムネイルをクリックし、プロパティパネルのグラデーション部分をクリックして[グラデーションエディター]を開きます。
STEP.2
ブラック(黒)のカラー分岐点の調整
ブラック(黒)のカラー分岐点をクリックして、肌の一番暗い部分をサンプリングします。
STEP.3
ホワイト(白)のカラー分岐点の調整
ホワイト(白)の分岐点で、肌の一番明るい部分をサンプリングします。
STEP.4
二番目に暗いカラー分岐点を追加
カラー分岐点を追加し、肌の二番目に暗い色をサンプリングします。
STEP.5
二番目に明るいカラー分岐点を追加
カラー分岐点を追加し、肌の二番目に明るい色をサンプリングします。
STEP.6
各分岐点の位置を調整
肌とグラデーションマップのエリアを確認しながら、二番目に明るい色と暗い色のカラー分岐点を移動させて、馴染みをよくしましょう。
STEP.7
カラーピッカーで色を調整する
各カラー分岐点をダブルクリックし、カラーピッカーを使って[H(Hue)色相][S(Saturation)彩度][B(Brightness)輝度]を確認しながら微調整します。
STEP.8
レイヤーマスクを白く塗りつぶす
いったんレイヤーマスクを白色にして、人物全体にグラデーションマップを適用した状態で全体の色味を確認します。
レイヤースタイルによる馴染ませ
STEP.1
レイヤースタイルを表示させる
グラデーションマップレイヤーをダブルクリックして[レイヤースタイル]パネルを表示させ、[ブレンド条件]を調整します。
STEP.2
[下になっているレイヤー]を調整する
ブラックやホワイトのスライダーをOption(Alt)キーを押しながらドラッグすると分割できるので、陰影やハイライトを自然に残すようにしましょう。
STEP.3
描画モードを変更し、自然に馴染ませる
描画モードを[カラー]に変更し、元の陰影を生かしつつ色相だけを補正できるように設定します。
アルファチャンネルでの肌選択
STEP.1
「レッド」チャンネルを複製する
肌と背景の明度差が大きい場合は、[チャンネル]パネルから肌選択に最適なチャンネル(今回の例では[レッドチャンネル])を複製します。
STEP.2
複製した[レッド]チャンネルを調整する
Command(Ctrl)+Lで[レベル補正]を開き、肌が白、それ以外が黒になるように調整します。
STEP.3
不要な部分は黒く塗りつぶす
肌以外の部分は黒色で塗りつぶし、肌領域を強調します。
選択範囲の読み込みとマスク調整
STEP.1
チャンネルを選択範囲として読み込む
作成したアルファチャンネルをCommand(Ctrl)キーを押しながらクリックし、選択範囲として読み込みます。
STEP.2
レイヤーマスクに反映させる
[RGB]をクリックしてカラー表示に戻し、グラデーションマップのレイヤーマスクを選択。
マスク全体を黒色で塗りつぶしてから、Command(Ctrl)+Iで反転し、肌部分だけが白色になるようにします。
STEP.3
不要な部分は黒く塗りつぶす
目や唇など色が不要な部分は黒いブラシで塗りつぶし、マスクを微調整します。
マスクを確認するときは、Option(Alt)キーを押しながらマスクのサムネイルをクリックすると表示が切り替わります。
最終調整
レイヤーの不透明度を調整することで、肌の色味を自然に整えます(例:70%程度など)。
肌全体に適用してもよいですし、部分的にブラシでマスクを塗り分けることで、特定の箇所だけ補正することも可能です。顔と身体の色差を統一するだけでなく、写真全体のクオリティが格段に向上しますので、撮影時の光源や肌色のムラが気になる場合にぜひ役立ててください。
まとめ
グラデーションマップは、単なる色味の変換だけでなく、肌補正にも大いに役立つ機能です。撮影環境や光の加減によっては、顔と身体の色差や肌のムラが目立つことがありますが、この方法を使えば自然に補正が可能です。ショートカットやアルファチャンネル、ブレンド条件など、Photoshopのさまざまな機能を組み合わせることで、時短かつ高品質な仕上がりを実現できます。
左:Before / 右:After
デザイナーを目指す学生や初心者の方は、まずは今回の流れを参考に実践してみてください。慣れるまでは少し大変かもしれませんが、身につけておくと幅広いシーンで応用できるテクニックです。ぜひ繰り返し練習して、ご自身のスキルアップにつなげてください。応用すれば、以下のように自由自在に肌の色を調整することが可能となります。
左:Before / 右:After
左:Before / 右:After
動画のご案内
本記事の内容をわかりやすく映像化したYouTube動画も公開しています。実際のPhotoshop画面を見ながら、各ステップやブレンド条件の動きなどを確認していただくと、より理解が深まるはずです。ぜひ動画もあわせてご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。動画やブログがお役に立ちましたら、ぜひ「いいね」やチャンネル登録、コメントをよろしくお願いいたします。
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