AI時代に求められる「変化できるデザイナー」
最近、広告制作業界に関するあるニュースが話題になりました。
ポスターやチラシなどを制作する広告制作業の倒産が増加しているというものです。
紙媒体広告の需要減少や、広告費のデジタルシフト、AIやデジタルへの対応の遅れなどが背景にあり、業界は大きな変化の中にあります。
しかし、こうした変化はデザイン業界において決して初めてのことではありません。
むしろデザインという仕事は、常に技術の進化とともに形を変えてきた仕事です。
デザインの仕事は常に変化してきた
デザインの歴史を振り返ると、仕事の形は時代によって大きく変わっています。
活版印刷の時代

昔、文字はすべて活字(金属の文字)を使って組まれていました。
職人が一文字ずつ活字を並べ、版を組んで印刷する。これが「活版印刷」です。この時代は、文字を扱う専門職として活版職人が存在していました。
写植の時代

その後登場したのが写真植字(写植)です。専用機械を使い、写真として文字を出力する技術で、写植オペレーターという職業が生まれました。
文字組みの技術やレイアウトの感覚は、この時代のオペレーターによって培われていきました。
DTPデザインの時代

そして1980〜90年代、Macの登場とともにDTP(Desktop Publishing)の時代が始まります。
IllustratorやPhotoshopなどのソフトを使い、デザイナー自身がレイアウトを作るようになりました。
これにより、
活版職人
↓
写植オペレーター
↓
DTPデザイナー
という形で、同じ「文字を扱う仕事」でも職種は変化してきました。
つまり、技術が変われば仕事の形も変わるのです。
AIという新しい変化
そして現在、新たな変化が起きています。それがAIです。最近では
などが急速に発展しています。
これまで人が時間をかけて行っていた作業の多くが、AIによって短時間で生成できるようになってきました。
これはデザインの仕事にとって、非常に大きな転換点です。
「作ること」だけでは価値にならない時代
これまでの広告制作の構造は、シンプルなものでした。
クライアント
↓
制作会社
↓
デザイン制作
つまり、作ること自体が仕事でした。
しかし現在は、
クライアント
↓
マーケティング
↓
データ分析
↓
クリエイティブ
という流れになっています。
デザインは依然として重要ですが、その位置は工程の一部へと変化しています。
つまりこれからは、「作れる人」だけでは差別化が難しいということです。
ダーウィンの進化論とデザイン業界
ここで思い出したい言葉があります。
進化論で知られるダーウィンの思想としてよく引用される言葉があります。
最も強い種が生き残るのではない。
最も賢い種が生き残るのでもない。
最も変化に適応できる種が生き残る。
実はこの文章自体はダーウィンの著書の直訳ではなく、1963年に経営学者レオン・メギンソンがダーウィンの思想を説明するためにまとめた言葉だと言われています。しかし、この言葉はビジネスや産業の変化を説明する上で非常に本質的です。
この言葉は、生物の進化だけでなく、産業やビジネスの世界にも当てはまります。デザイン業界も同じです。優れたスキルを持っていても、環境が変わればその価値は変わります。逆に言えば、変化に適応できる人は生き残るということです。
AI時代のデザイナーに必要なスキル
では、これからのデザイナーには何が必要なのでしょうか。私は次の4つが重要だと考えています。
1 戦略思考
デザインは単なる装飾ではありません。
という設計が重要です。コンセプトや戦略を考える力は、AIが簡単には代替できない領域です。
2 マーケティング理解
デザインの目的は、見た目を整えることではなく成果を出すことです。
広告、ブランディング、UI/UXなど、マーケティング視点を持つことが重要になります。
3 AI活用力
AIはデザイナーの敵ではありません。むしろ新しいツールです。
Photoshopが登場したとき、それを使えるデザイナーが増えました。AIも同じです。使いこなす人が新しい価値を生み出します。
4 編集力
AIは多くのアウトプットを生成できます。しかし、
は人間の役割です。つまりこれから重要になるのは編集力です。
AI時代のデザイナーの役割
AI時代のデザイナーは「作る人」から考える人へと変化していきます。
もっと言えば意味を設計する人です。
最後に
デザイン業界は今、大きな変化の途中にいます。しかし、歴史を振り返るとこの業界は常に変化してきました。
活版
↓
写植
↓
DTP
↓
AI
技術は変わります。仕事の形も変わります。だからこそ大切なのは、スキルだけではありません。
変化できる力です。ダーウィン(経営学者レオン・メギンソン)の言葉の通り、
最も強いものが生き残るのではない。
最も賢いものが生き残るのでもない。
最も変化できるものが生き残る。
AI時代のデザイナーにとって、この言葉はとても示唆的だと思います。


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