やる気が出ない就活生へ|内発的動機づけと自己決定理論でモチベーションを高める方法

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はじめに

多くの人が「やる気が出ない…」という悩みを抱えています。私は教育機関で働いているのですが、実際に多くの学生からよく相談されます。それは決してあなたが怠け者だからではありません。実は人間、誰でも 普段は「やる気が出ない」のが普通 なのです。むしろ、いつもバリバリとやる気に満ちている状態のほうが特別で珍しいくらい。ですから、「やる気が出ない自分」を必要以上に責める必要はありません。

本記事の目的は、「やる気の正体」を知り、自分のモチベーションを上手にコントロールする方法を学ぶことにあります。学校の先生という視点から、心理学の知見を交えつつ、読めば「これなら自分でもできそう!」と思えるヒントをお届けします。

モチベーションの正体

内発的動機づけ vs 外発的動機づけ

まず、モチベーション(動機づけ)には大きく分けて2種類あります。「外発的動機づけ」「内発的動機づけ」です。

【外発的動機づけ】

外発的動機づけとは、報酬や評価、罰など 外からの働きかけ によって生まれるやる気のことです。たとえば「この課題をやればご褒美がもらえるからやる」とか「サボると先生に怒られるから仕方なくやる」という動機がそれに当たります。

【内発的動機づけ】

一方、内発的動機づけとは、好奇心や興味、「自分がやりたい!」という 内から湧き上がる気持ち によって生まれるやる気です。例えば「この課題を通じて自分の表現力を伸ばしたいからやる」というように、自分の成長や楽しさを感じて行動する場合ですね。

どちらの動機づけも状況によって必要ですが、“長く持続する力” になるのは内発的動機づけです。外発的な理由だけで動いていると、報酬がなくなれば行動も止まってしまいがちです。しかし内発的な動機づけは、周りから何も言われなくても自分から行動を続けられる持続力につながります。実際、アメリカの心理学者エドワード・L・デシの研究によれば、人はお金や賞罰など外部の報酬による動機づけよりも、自分の内側から湧く動機づけのほうが高いパフォーマンスを長続きさせられるそうです。

内発的動機を高めるカギ「自己決定理論」

人が自発的に動けるようになるためには、心理学でいう「自己決定理論」が参考になります。自己決定理論では、内発的なモチベーションを支えるために満たすべき3つの基本的欲求があるとされています(米国の心理学者エドワード・デシとリチャード・ライアンが提唱)。この3つとは 「自律性」「有能感」「関係性」 のことです。それぞれ簡単に説明しましょう。

  • (1) 自律性(Autonomy)
    自分で物事を選び、決定できているという感覚のことです。言い換えれば「自分の意思で動いている」という実感です。例えば、学校の課題でもテーマや進め方を自分で選べるだけで、「やらされている」感が減って前向きに取り組みやすくなります。誰かに強制されるのではなく、自分で選んでいると思えるほどやる気は高まります。
  • 2有能感(Competence)
    自分が有能で成長していると感じられること、つまり「できるようになってきた!」という実感です。小さな成功体験の積み重ねや、先生・先輩・仲間からのフィードバックによって得られる達成感がこれに当たります。「前より上手く描けるようになった」「先生に褒められた!」と感じると、「もっと頑張ろう」という意欲が湧きますよね。
  • 3関係性(Relatedness)
    誰かとつながっている感覚、「自分のことを見てもらえている」という安心感です。たとえばクラスメイトと一緒に作品制作に取り組んだり、お互いの作品を見せ合ったりすると、一体感や競争心が生まれてやる気が継続しやすくなります。先生との対話や、仲間と励まし合う時間も関係性の欲求を満たし、モチベーションの支えになります。

これら3つの欲求が満たされているとき、人の内発的動機づけは高まり、質の高いモチベーションが維持されやすくなります。特に「自分で選んでいる」という自律性が満たされることは、やる気を引き出すうえでとても重要だと言われています。

学生がモチベーションを高めるためにできること

学校や課題の場面で、デザインを学ぶ学生自身が、自分のやる気や学習意欲を向上させるために実践できる工夫をまとめました。すぐ実践できるヒントです。

  • 課題に「主体性」を持つ
    課題を進める際、テーマや形式に選択肢がある場合は、自分が興味を持てるものを積極的に選びましょう。自ら選択することで、「やらされている」感覚ではなく、自分が主体となって取り組んでいる意識が生まれ、やる気が高まります。
  • 課題後の「振り返り」を習慣化する
    課題を提出したら、自分の努力や成果を振り返る習慣をつけましょう。「何ができたか」「どのように成長したか」を言語化し、小さな成果も見逃さずに確認することで、自信や達成感を得られます。それが次の課題への意欲につながります。
  • 仲間と作品を共有する
    クラスメイトと定期的に作品や進捗状況を見せ合いましょう。自分の作品に対する他者からの反応を受けることで、新たな刺激を得られます。また、仲間の良い部分や改善点を参考にすることで、自分自身のやる気やモチベーションも引き出されます。
  • 自分だけの「スキルマップ」を作成する
    習得した技術や成長を具体的にリスト化・視覚化し、自分だけの「スキルマップ」を作成しましょう。自分の進歩を明確に把握することで、自己成長を実感でき、「次はこれに挑戦しよう!」という前向きな気持ちが持てます。

よくある誤解「やる気がある人」≠「いつも前向きな人」

「いつもやる気満々の人」と聞くと、常にポジティブで落ち込まないようなイメージがあるかもしれません。しかし実際には、どんな人でも嫌なことがあれば落ち込むし、気分が乗らない日もあります。やる気がある・ないは性格ではなく「状態」の問題で、しかも環境や工夫によって変えられるものです。モチベーションとは感情ではなく仕組みによって生み出せるものだ、と捉えてみましょう。

大事なのは、「落ち込まないこと」ではなく落ち込んでも戻ってこれる“仕組み”を知っていることです。いつも前向きに見える人も、ゼロになったやる気を上手にリセットしたり再点火したりするコツを持っているだけかもしれません。「自分はダメだ…」と落ち込む時間を減らし、今回紹介したような方法でモチベーションを立て直す術を持っておけば、誰でも必要なときに自分を動かせるようになります。

まとめ|モチベーションは「育てるもの」

モチベーション(やる気)は、降って湧いてくるのを待つものではなく、自分で育てていくものです。内発的な動機づけを高めるには、ここで紹介した 自律性・有能感・関係性 の3つの欲求を意識して満たすことがカギになります。「最近なんだかやる気がでないな…」というときは、ぜひこの3要素の視点から自分の状況を点検してみてください。何か選択の自由がない状態になっていないか?小さな達成を見逃していないか?周りとのつながりが薄れていないか?――チェックしてみると、やる気アップのヒントが見つかるはずです。

自分のモチベーションを他人任せにせず、自分で整える習慣を持つことが大切です。ちょっとした工夫で環境を変えたり行動を起こしたりしてやる気を引き出せれば、自発的に動ける人に近づきます。「やる気が出ない」と嘆く前に、まずは今日からできる小さな一歩を試してみましょう。

おわりに|行動のきっかけは、小さな一歩から

やる気は椅子に座って待っていても向こうからやって来るものではありません。やる気は、実は「動いているうちに生まれる」ものなのです。 勉強でも制作でも、「やる気が出たらやろう」では永遠に始まりません。とりあえず5分だけでも手を動かしてみる。そうすれば不思議とエンジンがかかってくることがあります。大事なのは完璧な計画より、小さくてもいいから実際に動いてみること。

「自分のやる気スイッチ」は人それぞれ違います。色々な方法を試しながら、「これをすると気分が乗りやすい」という自分なりのスイッチを見つけていきましょう。最初の一歩を踏み出せば、あとはその連鎖で少しずつ前に進めるはずです。やる気との付き合い方を知ったあなたなら、きっとこれからは自分の力で一歩ずつ動き出せるようになりますよ。

今日のあなたの小さな一歩が、未来の大きな成長につながります。応援しています!

この記事を書いた人
Experience Designer

大分県出身|アートディレクター兼デザイナー|デザインの先生|デザイナー歴19年|先生歴11年|✱2025年現在
学生〜プロ、経営者〜企業をデザインの力でスケダチ|外部デザイン顧問|デザインなどの情報を発信する「姫野家クリエイティブノート」を運営|広告賞多数受賞

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